6.就活スタートまで1か月。「本当にクリエイティブ業界で働く覚悟ありますか?」
ちょっとドキドキ、あと1か月
こんにちは、キャリアコンサルタントの中路真紀です。このブログはクリエイター、デザイナーを目指す学生のみなさんに、「自分に必要なポートフォリオ」はどういったものなのか?キャリアデザインの視点から、戦略的に考えて制作することを目指すブログです。
いよいよ来月から就活本番スタートですね。
本日は、やりたい仕事を探す方法について話をしようと思います。
まず、考えてほしいのが、(本当はもうちょっと前に考えて欲しいのですが)クリエイティブ業界で働くか、それ以外で働くかということ。
「美大だから絵を描く仕事に就かないと。」
「一般の企業に入るのはちょっと…。」と、あなたは思いますか?
実は、芸術系大学やクリエイティブに関わる学科出身でも、一般事務や営業として仕事をしているケースは意外と多く、大学によって割合は違いますが、40%~70%くらいはクリエイティブ以外の仕事に就いています。
収入を確保しながら定時に帰れることを条件に選び、一般事務の仕事をしながら、自分の作品を制作することを選んだ先輩もいますし、人と接することが好きで営業になった先輩もいます。
美大だからといって、全員がクリエイティブ業界に就職しているわけではありません。
皆さんには、いろんな卒業後の選択肢があるのです。大学のサイトで、卒業生の進路を見てみましょう。
- クリエイティブ業界で制作に関わる仕事
- クリエイティブ業界で制作以外の仕事 (経理 人事 総務 広報 営業など。 職種別採用でない限りは、入社後どこの部署に配属されるか選べない)
- 一般企業
- 一般企業クリエイティブ職(企業内のWEB担当、広報などがあるが、 職種別採用でない限りは、入社後どこの部署に配属されるか選べない)
- 公務員
- 作家
- 進学
「本当にクリエイティブ業界で働く覚悟ありますか?」
好きな絵を自由に好きな時に描いているのと、仕事で描くのとは全然違います。指示された仕事の内容で、制作することができますか?
クリエイティブの仕事は、納期があって、そこまでにどれだけクオリティを上げられるか、が勝負。技術もツールもすぐに変わっていくから、常に勉強も自分でしなきゃいけない。
決まった仕事ではないから、正解もなく、試行錯誤しながら作ってはダメ出しされ、また直してダメ出しされ...を繰り返しながら、納品まで作り上げて行く。
納期前は徹夜でやらなきゃいけない日もあるかもしれない。
そういう仕事です。
「先生、〇〇〇制作会社ってブラックですよね?」と軽く口にする学生の言葉に、私は複雑な気持ちになります。
残業をしたくないのであれば、その条件を優先して、業界や会社を選べばいいとは思うのですが…
友達の間で伝わってるその会社は、本当にブラックなのでしょうか? 会社に満足している人は、「うちの〇〇〇制作会社は〇〇だから、いい会社です~♪」なんて、わざわざネットに書きこまないですよね。そうすると会社に不満を持った人の書き込み、ネガティブな情報だけがネット上に残ります。
ブラックだとネットに書きこんだその人に問題があるかもしれません。同じ人が、複数のサイトに書いている可能性だってありますよね。
もしくは、本当にブラックかもしれません。
どちらなのかは、ネットの情報も受け止めつつ、本当にその会社のことを知っている人、働いている人、取引がある人、色んな情報を集めて、自分で判断しましょう。あまりにもネガティブな書き込みが多い場合は、要注意ですけどね。
その会社は、本当にブラックなのか?
それとも、業界の慣習的に残業の多い働き方なのか?
入社して3年目くらいまでは、スキルがグーンと伸びる時期。しっかり先輩に教えてもらえる時期でもあるので、私は「残業してでも、教えてもらう」くらいの気持ちで、スキルを身につけることを優先した方が、その後の10年が楽になるはず、と思っています。
ですが、そういう事を理解せず、大事な時期に退職し「ブラックだ!」と書きこんでいる人も、少なからずいるんだろうな、とも思うのです。そういう情報を鵜呑みにしない事。
過労死するほどの残業は問題だし、それはブラックだと思いますが、クリエイターとして、大事な事って何なのか? 考えてみてくださいね。
続きは次回へ。
「大切なのは、デザイナーのためのキャリアデザイン。」
プロフィール: 中路真紀 (株)ジェットマン取締役。東京工芸大学、宝塚大学非常勤講師。
1級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)。CDA。一般財団法人女性労働協会認定講師。
富士フイルム労政部を経て、ソニーミュージックエンタテインメントにてゲームCG開発で徹夜の日々。突然の部署解散をきっかけに制作会社設立に参画。デジタルスケープにて、スキル評価、「クリ博」講師、経産省クリエイター人材育成プロジェクト事務局など、クリエイターのキャリア開発に長年にわたり関わる。業界を目指す学生や、プロクリエイターを中心に、これまで6300名を指導してきた経験から、独自の「キャリアデザインの視点から考える戦略的なポートフォリオ制作手法」と、「グループワーク」を体系化。クリエイター向けに長期的に役立つキャリアセミナーや、キャリアコンサルティングを提供している。現在、UIUXデジタルコンテンツ開発会社(株)ジェットマン取締役。
執筆協力:「ポートフォリオの教科書」(ワークスコーポレーション)「iOSプログラミング」(アスキーメディアワークス)「iPhoneSDK3プログラミング大全」(アスキーメディアワークス)