Jetmanブログ

株式会社JETMANの中の人が、ゲームエンジンやUI/UX、クリエイターのキャリアデザインについて語ります。

5.素晴らしいポートフォリオを作っても、見てもらえない悲劇もあるのです。

 

f:id:jetmanblog:20150120164809p:plain素晴らしいポートフォリオを作っても、見てもらえない。。。

こんにちは、キャリコンの中路真紀です。このブログは、クリエイティブ業界を目指すみなさんに、「キャリアデザインの考え方を取り入れた戦略的なポートフォリオ制作」をお伝えします!

前回、自己分析は自分のことを知ること、自分に質問すると色々見えてくることもありますよ、という話しをしました。今日はその続きです。「なぜ、ポートフォリオの作り方の前に自己分析を?」と、思うかもしれません。

それは、ポートフォリオ制作が始まると、自己分析に目を向けず、ひたすら制作とポートフォリオ作りに、はまってしまう学生もいるからなのです。

A君が、イベント会場でポートフォリオを見せてくれたのは、就活の1年以上も前。

 

作品数としては申し分ないし、作品自体のクオリティも高い。コンテストの受賞歴なども持っています。 これまでの自分の活動を見てもらいたくて、ポートフォリオを作っているような感じでした。「今は色々作るのが楽しくてー」と。

 

「で、A君はどういう仕事をやりたいと思っているの?」と聞いてみると、

「うーん、まだ決めてないです…」

「じゃ、行きたい会社とかある?」

「うーん。特には…」

 「今のうちに、いろんな仕事調べてみたらいいと思うよ。例えば…」と、A君なら大手の会社でもすぐ内定が貰えるだろうな、と内心思いながら、仕事や会社の調べ方などをアドバイス。

 

それからずいぶん時間が経って、A君が「小さなデザイン会社に就職が無事決まりました!」と、報告に来てくれました。卒業式までもうすぐというタイミング。実際は、就活大苦戦だったそうです。  振り返ってもらうと…

 

就活前半は、書類とポートフォリオが通っても、面接で落とされ…

就活後半は、書類さえもほとんど通らなくなり、ポートフォリオも見て貰えない…

 

「後半は、志望動機が書けなくなりました…。」とポツリ。 

 

 あんなに素晴らしいポートフォリオだったのに、見てもらうチャンスが貰えなかったなんて!! なんだか私も悔しくなってしまいました。

 

就活のやり方に問題があったのです。

A君は作品制作は好きだし、得意で、その延長線上にある「ポートフォリオを作ること」は問題なかったのですが、「仕事をしている自分を想像すること」ができませんでした。

「作ること」は一生懸命時間をかけてやったけど、

「仕事に結び付けて考えること」が出来ていなかったのです。

だから、志望動機が書けない、面接になると上手く通らない…という状態に。素晴らしい作品やポートフォリオを持っていて、早めに準備していたのに、苦戦してしまったのです。

ちなみに、今もA君は、内定を貰った会社でバリバリ働いています。結果として、就活は苦戦したけど、良い会社に巡り合ったケース。良かったー。

 

ポートフォリオ制作を嫌がっていた学生も、いざ制作を始めると「意外と楽しいです~!」と言ってくれること、実は多いのです。

でも、就職活動はポートフォリオだけで採用される訳ではないですよね。ポートフォリオの前にES(エントリーシート)や履歴書で、自己PRとか志望動機とか、自分の気持ちを文章で会社に伝える必要があります

「考えること」も一緒に進めていかないと、どこかでつまづきます。

 

「あなたは、どんな仕事をやりたいのでしょうか?」

 

自己分析(自分を知ること)

「うーん、やりたい仕事って言われても…」と思うあなたに、本日は有効な方法をお教えします。それは…

他人に自分のことを聞いてみる。(簡単すぎましたか?)

 意外かもしれませんが、案外自分よりも他人の方が自分のことを知っていたりするものです。『ジョハリの窓』って聞いたことはありますか?

 

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ジョハリの窓

開放の窓:

自分も他人も知ってる自分。オープンにしている所ですね、違和感がないところ。「私、映画が好きなんだよね。」「そうそうAちゃんは映画好きだよね!」と一致するところ。ここが広がると他人とコミュニケーションが取りやすくなります。

 

盲点の窓:

自分は知らないけど、他人は知ってる自分。「Aさんって、〇〇だよね。」と言われて、驚く時ってないですか?

他人の意見に耳を傾けて「それも自分なんだ」と知ることで、この部分は小さくなっていきます。

 

秘密の窓:

自分では気づいているけど、他人に隠している自分。ここが多いと自分でも他人へ見せないように気を遣うし、他人からは「Aさんて、よくわからない人だよなあ~」と思われてしまう。

自分をオープンにしていくと、この部分は小さくなっていきます。

 

未知の窓:

他人にも自分にもまだ気づいてない自分。可能性が隠されている窓です!

 他人に自分のことを聞いてみると、気付く所も沢山あると思います。

「どんな仕事が向いていると思う?」と思い切って、聞いてみましょう。大学の先生や友達なら、あなたの得意なスキルからアドバイスしてくれるかもしれないし、両親なら、あなたの性格から向いてそうな仕事をアドバイスしてくれるかもしれない。バイト先の先輩だったら、あなたの働きぶりを見てアドバイスしてくれるかも。あなたの知らない自分(盲点の窓)を見つけてくれる可能性があります。

色んな他人の目から見た自分を参考にしてみてください。

あくまで参考に、ですよ。決めるのは、あなた自身ですから。

そして、自分のことをしっかり考えて、「ダメ、やっぱりわからない~」と思ったら、「次のこと」をやりましょう!自己分析が完璧な人間なんていないんですから。私も出来ていません。そんなもんです。

考えるのに疲れたら、ポートフォリオのデータを集めるでもいいし、業界のセミナーに参加してもいい。就活って沢山やることがありますからね。

業界のことを調べていたら、とても興味が湧いて「この業界に行きたい!」と強く思ったり、「ああ、やっぱりこの業界は向いてないな…」と思ったり、自分のことが理解できてくることも、よくあること。

「作ること」と「考えること」をバランスよく進めていきましょう!

 

「あなたは何が得意ですか? ツールは何が使えますか?」

「どんなことに興味がありますか?」

「何を仕事にしたいと思っていますか?」

 

  次回は「やりたい仕事の探し方」について話をしたいと思います。

 

f:id:jetmanblog:20150120171948j:plain「大切なのは、デザイナーのためのキャリアデザイン。」

プロフィール: 中路真紀 (株)ジェットマン取締役。東京工芸大学宝塚大学非常勤講師。

1級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格。CDA。一般財団法人女性労働協会認定講師。

富士フイルム労政部を経て、ソニーミュージックエンタテインメントにてゲームCG開発で徹夜の日々。突然の部署解散をきっかけに制作会社設立に参画。デジタルスケープにて、スキル評価、「クリ博」講師、経産省クリエイター人材育成プロジェクト事務局など、クリエイターのキャリア開発に長年にわたり関わる。業界を目指す学生や、プロクリエイターを中心に、これまで6300名を指導してきた経験から、独自の「キャリアデザインの視点から考える戦略的なポートフォリオ制作手法」と、「グループワーク」を体系化。クリエイター向けに長期的に役立つキャリアセミナーや、キャリアコンサルティングを提供している。現在、UIUXデジタルコンテンツ開発会社(株)ジェットマン取締役。

執筆協力:「ポートフォリオの教科書」(ワークスコーポレーション)「iOSプログラミング」(アスキーメディアワークス)「iPhoneSDK3プログラミング大全」(アスキーメディアワークス

 


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